• 2009年9月23日
  • 最近読んだ本のこと

最近読んだ本 ~ 2009.9

アネックス事務局・オクダです。
五味さんが最近読んだ本のことを紹介するシリーズの第二弾です。
今回は、写真集からシェークスピアまで幅広くご紹介。
五味さんの多方面に渡る興味をうかがうことができます。


読書09.9.jpg

まずは写真集、「新装版 土門拳 自選作品集」から・・・。

「これは土門拳さんのダイジェスト版のような本だね。
『古寺巡礼』とか以前も見ていたけれど、再度じっくり土門さんの写真を見直すと、いま、軽く撮り過ぎている時代なんだなぁって思うね。どうしても簡単に撮れちゃうからさ、オレも含んでだけど。すぐ撮れて、すぐ見れて、すぐ消せる・・・。これは良し悪しだなぁっていうこと気付かせてくれるね。

かつて、写真を撮るという作業は、フィルムを入れて、撮影して、現像するという一連の作業全体をのことを言っていたわけで、決して簡単なものではなかったんだよね。その手間を考えると、シャッターさえ押せば自分も撮れるんだと思いがちな、いまの時代の写真=デジカメ時代の作業(どんどん撮って、どんどん消していく)というのは、また別のタイプの作業が始まっているんだろうな、と思うんだな。
でもやっぱり、「写真を撮る」という作業がしっかり残っていた、ちょっと前の写真は、「いいねぇ・・・」って、思うんだよな。そして、いい写真集は「見る」ものではなく、「読む」ものだと思うんだけど、この土門拳さんの写真集は本当に読める写真集だと思うね。」

Alfred wallis.jpg

次は、「Alfred Wallis:Artist and Mariner」

「これもねえ、じつにいい絵画集。
たまたまイギリスの片田舎を旅行しているときに、この人の展覧会をやってたんだよ。何気なく入ったんだけど。でも、絵を見ていくうちに、この人はタダモノじゃないぞって。
このアルフレッド・ウォーリスという人、20世紀初頭のイギリスの商用の船乗りで、船と海しか描いていないんだ。しかも、(この絵画集をよく見ると)ボール紙とか板切れなんかにも・・・。
この人から感じたのは、生きている証として絵を描いていたんだなぁって。趣味で描いているのとも違うし、いわゆる職業絵描きとも違う。
彼は、どうみても生粋の船乗りなんだよな。そして、その自分が船乗りであるがゆえを確認するために絵を描いていたような気がするんだ。
絵のなかの海(とくに波)が"海のプロ"しか描けないものなんだな。職業絵描きが、"ネコでもリンゴでも海でも何でも描けますよ風"に描いたものとはまったく違って、本当の海を知らない限り、絶対描けない波なんだよ。

オレの場合、絵本を描いて描いて・・・というのが仕事なんだけれど、その仕事をするために、他の絵を見たり、本を読んだり、旅行に行ったりして、絵本を描くという仕事を客観視することがあるけど、この人の場合も、海を仕事にしていることを確認するために絵を描いたんだろうなって思うんだよね。
このアルフレッド・ウォーリスさん、最近の最大の収穫だね」(了)

⇒参考:アルフレッド・ウォーリス略歴(横須賀美術館HPより)


【五味さんの最近読んだ本リスト】
「新装版 土門拳 自選作品集」 世界文化社
Alfred Wallis:Artist and Mariner
「どんどん変に... エドワード・ゴーリーインタビュー集成」 河出書房新社
「アフリカの日々/やし酒飲み」 イサク・ディネセン著 河出書房新社
「ヴェニスの商人」 シェークスピア著 光文社文庫
「遠い声 遠い部屋」 カポーティ著 新潮文庫
「ミーナの行進」 小川 洋子著 中央公論新社

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