• 2009年6月15日
  • 質問シリーズ

オクダの質問シリーズ 「レイアウトのお話」

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アネックス事務局・オクダです。
またまた、五味さんとの雑談で起きた僕の質問シリーズです。今回は、レイアウトのお話

※写真は、五味さんのアトリエで見つけた作品です。うらにモーターがついていて、鼻のハリガネかくるくる回ります。


―(オクダ) 最近取り組んでいるホットな仕事は何ですか?

(五味さん)  いま、ある著名な宗教学者の方との対談集を作ろうと思って、いろいろ試行錯誤しているんだけど、これはレイアウトが勝負だなぁって思っているんだ。文字組みとそのレイアウトが・・・。何をどうレイアウトするかで大概のことは決まってしまうからね。

―五味さんのような方でもレイアウトには細心の注意を払われるんですね。

もちろんだよ。レイアウトってとても重要なキーワードで、単に本をつくること以外でも考えておかなければならないんだよ。

―へぇー、どういうことですか?

時間をレイアウトするとか、社会のなかで自分をレイアウトするとかいうじゃない。レイアウトって本のデザインだけではなくて、広く理解すれば、非常に大事な意味を持っているんだな。

―もう少し分かりやすく聞かせてほしいんですが。

つまり、社会のなかで自分の立ち位置をどうレイアウトするかで人生は決まっていくんだよ。これは、先日クレヨンハウスで講演していた内容で、たまたまこんな話になったんだけどね・・・

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いま、いろいろと社会がごたついているだろ。オレが思うに、これは、ある一つのレイアウトの現象とその結果だと思うんだな。
つまり、多くの人は「社会に就職」してしまっていて、「仕事に就職」していない結果が今の時代を反映していると思うんだ。要するに、多くは「社会に就職」して安心しちゃってたんだな。社会はつぶれないから、自分の生活も安全だって。ちなみに、この社会というのは非常に抽象的な意味で、社会のシステムということなんだ。毎日電車に乗って、大企業に勤めて、給料という名の社会の保護費をもらって・・・。ここではあくまでも会社に勤めている人たちのことを言っているのではなくて、社会に勤めた人たちのことを言っているんだけど。

―社会と会社って言葉が似てますよね。

うん、ややこしいもんだ。会社はあくまでも社会の一部だよな。会社は生き物だから、良いときも悪いときもあって変化するけど、社会は変化せずに安定しているものだと思っちゃうんだな。 でも社会だって、ずっと安定しているわけじゃないんだよな。

就職活動している学生で、業種とか職種とかバラバラに受けるやついるよね。テレビ局を受けて、新聞社も受けて、なぜか金融まで受けて・・・。共通しているのは、どこも給料がいいってことぐらいで、結局何がしたいんだろうって、首をかしげちゃうようなやつ。で、結局新聞社に入りましたっていっても、記者をやっているわけじゃなくて、営業や、事務方をやっていたりする。
つまり、仕事に就職したんじゃなくて、その会社に就職して生きていければいいということを選択したんだな。
でも、普通の感覚からすると、仕事で生きていくんじゃないのかなって思うんだ。得意なことを仕事にしていくんじゃないのかなってね。もちろん、得意なことを運よく仕事にできた人はいいけど、多くは社会に就職するしか方法がなかったと言える。

面白いのは、いわゆる優秀な成績を修めている人っているじゃない。学校を首席で出たとか・・・。意外に多いよね、こういう優秀クンたち。推薦で大学に入って、またまた優秀だから企業へも推薦されて入社して。こういう人たちは、その大学や企業から呼ばれているというよりは、社会という大きな枠から手厚く呼ばれているんだよね。つまり、社会に就職していくんだよね。だから、その社会体制が変われば、その本人も変わっていってしまう・・・。そう、社会がダメになると、ダメになっていくっていうことだ。
ところが、いまいち優秀じゃない連中は、社会への入り方が優秀な連中に比べて希薄だから、つまり、社会が呼んでくれているわけじゃないから、「まあ、オレのやれることでもやるか・・・」と思って、自分の得意なところで生きていくんだな。

―僕なんか、社会から呼ばれた経験なんて一度もないッスけど・・・

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あはは、つまりオマエみたいに優秀じゃない人間の方がいいわけよ。
最近、社会が瓦解していく現象というのは、とてもいい現象なんじゃないかなって思うわけ。
社会が崩れていく時代は、「オレって本当は何者なんだ??」って気づかされる時代だと思うんだよな。
いま、朝日新聞で「子どもっていいよね」っていう話を企画していて、これは同時に、なぜ子どもたちはしんどくなっていくのかなっていう構造を明らかにしていくものなんだけど、結局のところ、幼児教育や初等教育のあり方に行き着くんだよね。
この教育システムをひと言でいうと、"社会化しなさい"っていうことなんだよな。しかし、能力的または性格的に社会化できないやつっていうのがいて、これが、一般的に問題児と呼ばれる子どもだよ。先生も困っちゃうし、社会も困っちゃう。そして、本人は社会化しないから、傍から見ていると、非常に個人的(個性的)なんだよね。
そうして、今の時代と照らし合わせて考えると、「(生きていくために)人間、最後に必要なのは何だ?」っていう質問に対し、「個人だよね。個人で生きていくことだよね」っていうふうになるから、逆説的ではあるけど、社会化しなかったやつの勝ちなんだよな。つまり、あの教育システムは、少なくとも正しくはない・・・っていうか、人間の生理に合っていないシステムなんだよ。生理に合っていないということは、頭にもカラダにも合っていないということで、うまくいくわけはないよなってことなんだよな。

よく、ワークショップなんかやっていると、非常に個人的な、そして素敵な連中がいる。こういうイケてる子どもや大人に共通している考え方は、「社会が悪い」なんて社会のせいにするやつはほとんどいないということだよ。皆、何かあったら「自分が悪い」って考えてる。もともと社会に帰属している(就職している)意識が低いから、社会のせいなんかにはしないんだな。
いま、こういった素敵な連中を題材にした絵本を作りたいなあって思ってるんだよね。



この雑談はその後もしばらく続き、五味さんは「社会っていうものが弱くなると、自分の生き方を見つけて生きるんだよな。それを確認し始めた時代なんだな」ということを言ってました。確かに、今の時代は、社会そのものが再構築されている面白い時代なのかもしれません。 今後も、僕なりに面白いと思った五味さんの話をご紹介していきます。(了)

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