• 2009年3月28日
  • 最近読んだ本のこと

最近読んだ本のこと。

事務局・オクダです。
五味さんは非常に多くの多岐にわたる本を読んでいるということで、
最近面白かった本を紹介してもらいました。
これから不定期ではありますが、「五味太郎の最近読んだ本のこと」を
はじめますのでよろしく。


先日、アルゼンチンを旅行中に読んでいた本は、実に面白かった。
オレの友達の編集者・西田君がつくった本。
イギリス人の奴隷の話。誰も知らない白人奴隷の話。
17世紀から18世紀にモロッコなどのアフリカ北海岸・イスラム圏辺りで起きていた歴史の事実だね。

普通、"奴隷"っていったら"黒人奴隷"のことだよね。でも驚くことにこれは後の歴史。実はこの歴史の前に、白人奴隷がいっぱい使われていた時代があったということなんだ。

時は大航海時代の末期。ヨーロッパ諸国もイスラム諸国も領土や富を求めて争っていた。そして、国の力は人の力、人の数だといわんばかりに、どんどん人々をさらっていったんだね。それがイギリスの場合、イスラムの船に海岸の村ごと襲われて、村の人口ごと奪われていったというからすごい。しかも、その数がハンパじゃない。とにかくすごい数だ。男はもちろん、女も子供も。そして、使える奴はこき使われて、使えない奴は殺されて。
また、出航しているイギリス船もスペイン船も船ごと奪われて、アフリカの北海岸まで連れて行かれるんだ。そしてそこには、マーケットが形成されており、白人奴隷が流通している・・・。

でも、なぜこんな驚くべきことを、皆知らないのかっていったら、誰も生き残っていないから。つまり歴史が残っていないんだよね。
旅行中にブエノスアイレスの古い街を散策していても、それは結局"スペイン人が作った街"なんだよ。つまり、それ以前に存在していた人々がつくった国の姿はまったく残っていない。それだけ、略奪や破壊がすさまじかったっていうことだ。
数年前からオレが興味を抱いている作家、ル・クレジオが、"すでに残っていない歴史"に関して、たくさんの作品を書いている。このクレジオさんによれば、南米を征服したスペインをはじめとするヨーロッパ人によって、2~3億人のインディオが犠牲になったといわれている。これだけ多くの数が殺されれば、なんとか逃げ延びたインディオがいても、それまで連綿と続いていた文化や街なんて滅んでしまうよね。
アレキサンダー大王の遠征もそう。征服された国や村などはことごとくなくなって、つまりはそれまでの歴史もなくなって、残ったといえば血脈だけ。
つまり、世界史をどんなに勉強しても、"本当の歴史"は分からない。残っていない歴史の方が圧倒的に多いからね。

話を戻して、イギリス人奴隷の時代を考えると、実は、現代とあまり変わっていないことに気づく。つまり経済の構図だ。
イギリス人奴隷も、当時はイスラム圏の労働力に過ぎなかったということ。つまり、安い賃金で(もしくはタダで)スルタンのために働き、王国の繁栄に寄与した。現代に置きかえれば、安い労働力を中国に依存して、モノを作っている構図とほとんど変わらない。やり方が略奪などではなく、現代風というだけ。
本当に人さらいをしている北朝鮮は、非常に現代的じゃないけどね。

こんど、先述のル・クレジオさんの著作についても紹介します。

今回紹介した本

「奴隷になったイギリス人の物語」

著者
ジャイルズ・ミルトン
翻訳
仙名 紀 翻訳
出版社
アスペクト
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